こんにちは!もんぺです。
不動産を相続したけど、どうやって売却すればいいのか?何を準備すればいいのか?不動産の売却って人生にそう何度もあることじゃないと思います。そのわりに大きな金額が動くので、しっかり知識をつけないと思わぬ損をする事になりかねません。
そんな不動産を相続したけど、これからどうすればいいのか分からない人がこのブログを読んで貰えば、損せず不動産を売却できるようになります。
現役で不動産会社に勤め、年間80件の売却相談にのっています。これまでに売却のお手伝いも6年で100件を越えました。
そんな不動産のプロが損をしない不動産売却についてご説明します。
損をしない売却方法
不動産を売却した時に、購入した時の金額よりも売却した時の金額の方が高く、経費を差し引いても利益が出た場合、その利益に対して、税金(譲渡所得税)が発生します。
今回は、この譲渡所得税がなるべくかからないように準備をして売却をするという話をさせていただきます。
売却相談前に準備する物
初めに、準備してもらいたい物が、
- 権利証/登記識別情報
- 測量図
- 建物図面及び仕様書などの関連資料
- 売買契約書(土地、建売などの場合)
- 請負契約書(新築、リフォーム時の)
- 購入時の領収書等(仲介手数料や印紙代、登記費用など)
- 相続登記の領収書
- 納税通知書(可能であれば、直近の物)
- 遺産分割協議書(相続をこれからする、したばかりの場合)
- その他関連資料
をお手元にご準備下さい。
譲渡所得税とは
譲渡所得=不動産の売却価格 -(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税 = 課税譲渡所得(譲渡所得-特別控除) × 税率
譲渡所得税は、このような図式で成り立ちます。
譲渡費用とは、売却時にかかる経費なので、売却時にかかった経費については、必ず領収書を発行してもらい、保管してください。請求書+振込用紙でも大丈夫です。
問題は、この取得費です。
築年数が浅い物件であれば、領収書関係もお手元にあると思いますが、相続された物件の場合、元々の所有者の方がしっかり購入時の売買契約書、請負契約書(新築もしくはリフォーム)、領収書が残っているかがポイントになります。
上記のような書類がないと、購入時にいくら経費がかかったかという証明が出来ないため取得費不明となります。
その場合は、売却価格の5%が取得費になります。
売却価格の5%だと、1000万円で売れた場合50万円しか取得費でみてもらえません。
これだと、取得費+譲渡費用がそこまで高額にならないため売却利益が出てしまうことが多いです。
■ポイント1 残っている不動産書類はとにかく集める!
上記でも記載しましたように、取得費の算定がかなり売却利益の有無に関係してきます。
なので、相続される場合は、とにかく不動産に関係ある書類をくまなく探しておいてください。
これやるかやらないかで本当に何百万と税金が変わってきます!!
所有期間で変わる税率
今回は、相続した物件の話なので、基本的に売却時の所有期間は、被相続者の所有期間を引き継ぐ形になるので、短い期間での売却ではないと思いますが、譲渡所得は、所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ税率が異なります。
種類 | 対象期間 | 税率 |
短期譲渡所得 | 所有期間5年以下の土地・建物 | 39.63%(所得税 30.63% 、住民税 9%) |
長期譲渡所得 | 所有期間5年を超える土地・建物 | 20.315%(所得税 15.315% 、住民税 5% |
※所有期間とは、不動産を取得した日(取得日)から売却した日(売却日)までの期間です。但し、所有期間には、ルールがあり、売却した日とは、原則として売主が買主に不動産を引き渡した日です。ただし、その年の1月1日時点で判定されます。つまり売却が同じ年の1月でも12月でも1月1日に売却したものとなります。取得日は原則として不動産の引き渡しを受けた日です。
相続の場合は、基本的に被相続人の期間を引き継いでいるので、長期所有になっているかと思いますが、購入されてすぐに被相続人がなくなられてしまった場合などはご注意ください。
特別控除の適用
相続された物件が、相続後空家になっており、下記条件を満たしていると「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の特例が受けられます。条件とは、
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物(※マンションなど)でないこと
- 譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 他の特例の適用を受けていないこと
ポイント2 特例には期間が決められている
売却のご相談を受けるとき、非常に多いのがこの適用期間のことを知らず、相続後3年以上たってからご相談いただくケースです。この場合我々もできることがなくなってしまうので、ご事情が様々お在りかと思いますが、特例適用の為には、相続開始から3年目の年末までに契約を取り交わす必要がございます。
本当に多くの方が、まだこの制度を知らないのと期限を知らないため多くの税金を支払っています。
高く売る事も大事ですが、節税できるところは正しく節税する事の方が大切だと思いますので、相続時期をしっかりと把握し、適用期間内にご売却することをお勧めいたします。
ポイント3 相続後賃貸に貸し出すと適用外
相続された物件は思い出も詰まっており、簡単に手放すのはと考えられる方も多いと思います。その後の選択肢として、賃貸に貸出、家を維持するという方法があります。
こちらも大切な不動産の有効活用の一つだと思います。
但し、税金の特例だけを考えると相続後の物件を賃貸に貸出してしまうと特例の控除が使用できなくなってしまいますので、ご注意ください。
ポイント4 建物の築年数にご注意を
空家特例は、昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)の建物に限定されます。というのもこの特例の成り立ちが、古い耐震基準の家を減らすことを目的に作られた制度になっています。その為建築の築年数が定められています。
ポイント5 土地・建物両方相続していることが条件
相続の際に、換価相続という現金化したお金を相続するという方法があります。その際に遺産分割協議書を作成しますが、その中の条文が1人に不動産を相続させ、その代金のみを3人で分割するという書き方の場合、代表者以外の相続対象者が特例適用外になる可能性があります。
条文について、しっかりと専門家と相談し、特例の対象外にならないようご注意ください。
ポイント6 複数人で相続した場合全員が3000万円まで控除枠有
相続人が複数人になった場合には、合計で3000万円の控除額ではなく、1人3000万円まで控除枠があります。不動産価値が高いエリアなどでは、1人ではなく、複数人で相続すると特例でかなりの節税になりますので、ご家族でご相談してみてください。
【9000万円の売却価格の場合】
1人で相続した場合
9000万円ー(取得費5000万円+特例3000万円)=1000万円(売却益)
1000万円×約20%(長期譲渡所得)=200万円(譲渡所得税)
2人で相続した場合
4500万円ー(取得費2500万円+特例3000万円)=-1000万円(1人目)
4500万円ー(取得費2500万円+特例3000万円)=-1000万円(2人目)
どちらも空き家の3000万円控除を使うことで、譲渡所得が損失になり、課税金額がなくなりました。
1人で相続するよりも2人で相続する方が控除の適用が2人共に使えるので、大きな節税になります。
適用条件は、上記記載をよく確認してください。
正しく知識をつけていくことで、しっかりとした節税が取れ、結果的に手元に適正な金額が残ることになります。
相続された物件を今回のブログを読んでもらうことで正しく売却でき、損をしない売却ができると思います。
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